auguries

the sleeping beauty auguries (MARE-008 ¥1,800 ex.tax)

 

坂本龍一がニューヨークのレストラン「Kajitsu」のために作成したプレイリストに選ばれた「prairie home suite part 2」を収録。

 

ピアノの響きが空気に漂い、声、アコーディオンとサックスが流れを起こす。春や秋の訪れを知らせる、柔らかい空気。霧雨の向こうから聴こえてくる鳥や虫たちの声。遠くで遊んでいる子どもたち。そんな、日常のささやかな存在に気付かせてくれる音楽。

 

2008年春、森岡書店にて行われた高木やよいの個展で限定発売され好評を博したCDを、susanna等の仕事で知られるボブ・カッツがリマスタリング。

 

ミュージアム・ショップを中心にロングセラーになった前作『liv』同様、日常生活の様々な場面で繊細な感覚を呼び覚ますBGMとしてだけでなく、ソファに沈み込んで聴く喜びも味わえるアルバムに仕上がっている。

 

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track list

 

01. prairie home suite - part 1
02. prairie home suite - part 2
03. prairie home suite - part 3
04. prairie home suite - part 4
05. clock
06. a la musique
07. till it comes
08. in the park


painting: yayoi takagi

mastering: bob katz, digital domain




the sleeping beauty augiuriesに寄せて

祈るような静謐さに満ちたこのアルバム。『揺らぎ』すらデザインされているかのような・・・
中島ノブユキ(音楽家)

auguriesは大変丁寧に探された音で構成されています。その塊がぼくの個人的な記憶を呼び覚ましました。もうこれだけでぼくは嬉しくて嬉しくてしょうがないのです。
トウヤマタケオ(音楽家)

秋の葉のように、音が降り、ぶらさがり、ゆれている。風にうながされて、木を離れる。すべてはみな、降りてこなければならない。すべてはみな、地上に落ちる。そしてみんな、土に還る。

『auguries』には、そんな秋あるいは降り落ちる(Fall)感覚が充満している。

各音とコードの間には、静かで、おだやかな認識がある。メランコリックで、シンプルで、必然的で、疑いのない状態。とどまることのできる時間が限られているものにとって、それは唯一かつ最も困難な行いだ。

葉になれ。空の旅を楽しんで。
Wechsel Garland (Wunder, 17 pictures)

a la musique 久しぶりに聴いたけどいい曲です。大倉山の小さなピアノ・コンサート、思い出しました。
伊藤ゴロー

毎日過ごす中で耳に届く音は、不必要なものに溢れている。もっと人はそれを選ぶべきだと思う。

目の前の景色や胸に落ちた言葉に、しっくりと寄り添うようなものを。

『auguries』はそれを叶えてくれる。強烈な色で塗りつぶしてしまったり、使われ過ぎた言葉を押し付けたりしない。

静かに、優しく、それぞれの時間にゆっくりと滑り込み、目の前の景色や胸に落ちた言葉が「auguries」の美しい手助けによって、より鮮明で忘れられない記憶として残ることなるだろう。
良原リエ(trico!, small color)

この東京で、このような音楽を凛として淡々と作り続ける二人を思うとき、私の心はいつも明るくなります。スリーピング・ビューティよ、都会のオアシスよ。永遠なれ。
小嶋佐和子(Unknown Little Birds, bossa 51)

店内のBGMに迷った時によく用います。感傷的な時間の流れが感じられ、ちょっと外国の古い本屋にでもいるような気分になります。
森岡督行(森岡書店)

このCDを聴いてあの時のことを思い出した。

中学2年生の時、好きな女の子がいた。3学期。冬の2月14日の放課後。その女の子が右手に何か包み紙を持って私に近づいてきた。男のマナーとしてそれがチョコレートだと気付いたりしてはいけない。何も感づいていないフリをしながら彼女の言葉を待った。すると彼女はこう言った。「ねえ林くん。これ岡本先輩に渡してもらってもいいかな?」。

その時、私が彼女にどう答えたかは全く覚えていない。でも、あの放課後の教室の空気だけははっきりと覚えている。

そしてこのCDの音楽はあの時の教室の空気ととてもよく似ている。本当に。
林 伸次(bar bossa)

このアルバムの、静かに、心に迫ってくる音についてどう表現したものかと考えあぐねているうち、ずいぶんと時間がたってしまいました。けっきょく、このCDを耳にしたときの心象風景のようなものをそのまま書いてみたのですが、いかがでしょう?

晴れた週末、広々としたバルコニーのあるカフェであたたかいミルクティーを飲んでいた。動いていないようでいて、そのじつ刻々と色を変え、姿を変える雲をながめているうち、淡い期待はやがて静かな確信へと変わる。風が通りすぎる。スピーカーからきこえてくるのはthe sleeping beautyのあたらしいCD。そんな夢をみた。
岩間洋介(moi)