17 pictures

17 pictures (MARE-007 ¥2,000 ex.tax)

Wunder(ヴンダー)、Wechsel Garland(ヴィクセル・ガーランド)名義のアルバムの他、World Standard(鈴木惣一朗)、Soraとの競演作、レイ・ハラカミ、Child's View(竹村延和)などへのリミックス提供が日本でも高く評価されているJörg Follert(ヨルグ・フォラート)による新しいプロジェクト、17 pictures(17ピクチャーズ)の日本先行発売CD。

電子的な音響処理と、ギターのアルペジオ、ピアノ、ビブラフォン、弦楽器、声などが有機的に絡み合った本作品は、「オーガニック・エレクトロニカを築いたドイツ・ケルン派」といった通称が無意味に感じるほど、情感を揺さぶる美しさにあふれている。

この「17 pictures」は、少し濃厚な方向へ進みつつあるWechsel Garland名義の作品にくらべ風通しの良い音となっており、Wunderファンにはうれしい贈り物かもしれない。

ボーナス・トラックを含めた全20曲を通して聴くと、良質な映画を観た後のような、心地よい余韻に浸ることができるだろう。

なお、先行発売の日本版にはクラウディア・ロラリウスの短編映画のテーマとして提供された「Seilbahn」をボーナストラックとして追加収録。

 

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track list


01. hi (friends)
02. the Garden
03. watching the watching
04. sleepless nights
05. dream of quietness
06. Mirror Valley Theme #1
07. Mirror Valley Theme #2
08. dream of questions in variation
09. Moritz star
10. the lights of Mirror Valley
11. Sora star
12. short description of wishes
13. Mirror Valley Lodge
14. tiny glim
15. a little travelling
16. visitors
17. where did they go?
18. dream of funny answers
19. Myrna star
20. Seilbahn (theme from the short movie of Claudia Rorarius)

*#20は、日本盤ボーナストラック



ヨルグの音楽に出会ってから、今回の新作まで、ぼくには共通のイメージが流れている。それは、ぼくが初めて、自宅録音でギターを手にした時の蒼い気持ちだ。

インストゥルメンタルという世界の中で、辿々しいギターと、ほんの少しの音楽のアイデアで、どこまで自分のイメージを広げられるか?。そんなことが大きな悩みだった。その答えが、ぼくにはワールドスタンダードであり、ヨルグの答えは、今、17 pictures だ。

ヨルグは、近年、かつてのサンプリング主体としたハウス音楽から少し距離を置き、アコースティックでリリカルな作品を多く作っている。そのどれもが、ぼくにはこころ馴染むものばかりだ。「素敵だな」と、どの作品にも例外なく思う。そんなことは、実は滅多にないことだ。

身の回りにある少しの楽器と、自分が弾ける少しのギターで、自分の描く絵画的な音楽イメージと格闘するヨルグ…。静かに、さりげない音で。痛いほど、彼の音楽への気持ちがわかる。真摯な音楽家だな。遠い土地に住む音楽の友人として、ヨルグには、是非、自分の音楽を完成させて欲しい、と思う。

今、始まったばかりの彼の新プロジェクト/17 pictures が、今後、どう発展してゆくのか、聴き逃さないように生きてゆこう。そう思う。17 pictures、いいアルバムだな。やっぱり蒼い気持ちになる。
鈴木惣一朗(ワールドスタンダード)

ヨルグ・フォラートは稀有な音楽家だ。wunderでは非現実的な世界を聴かせて我々を魅了したが、この新作では、特別なものではなく、彼の日常生活のさまざまなシーンを切り取って紡ぎあわせている。彼の視線の先にはっとさせられつつも、すっと身体の中に入り込み、心を満たしてくれる音たち。
sora

創作への途切れることのない情熱を静かにそそぎ続けるヨルグ・フォラートの今作はもはやただ”音楽”としか呼びようがない。17枚の絵とともに鏡の谷へひっそりインナートリップしてみよう!
トウヤマタケオ


17 picturesについて

Wunder(ヴンダー)、Wechsel Garland(ヴィクセル・ガーランド)名義の活動で知られるJörg Follert(ヨルグ・フォラート)による、別名プロジェクト。

1998年に、ドイツのレーベルKaraoke Kalkからファースト・アルバム『Wunder』をリリース。ジャズの女性ボーカル、ストリングス等をサンプリングした音源と、音響処理された音やリズム・トラックが有機的に絡み合ったサウンドで、多くの音楽家に衝撃を与える。まだ、エレクトロニカという言葉さえ馴染みのなかった時代に、「オーガニック・エレクトロニカ」という呼称を与えられる。

その後、新しい活動名義Wechsel Garland(ヴィクセル・ガーランド)にて、ドイツのMorr Musicからアルバム『Wechsel Garland』(2000年)、Karaoke Kalkからアルバム『Liberation Von History』(2002年)をリリース。また、日本のP-VineよりWorld Standard(鈴木惣一朗)との共作アルバム『The Isle』もリリースしている。2005年にKaraoke Kalkからリリースされたコンピレーション・アルバム『Karaoke Seeds』には、日本のSoraとの共作「Spring」が収録されている。

また、親交のある音楽家よりリミックスを依頼されることも多く、レイ・ハラカミ、Child's View(竹村延和)、Sora、Silent Poets、平井堅、Tied & Tickled Trio、Donna Regina、Mike Ink、Haujobb、Anthony Rother、Calexico、Gustavo Ceratiなど、多くのリミックスを提供している。

ドイツでは、TVの音楽チェンネル「VIVA」関係の仕事も行っており、1999年、2000年と連続でアート・ディレクター・クラブ賞を受賞している。その他、ダンス・シアター・カンパニーArrazzo Tanztheaterの『This Very Moment』や、ショート・フィルムへの楽曲提供を行うなど、多彩な活動をしている。